昔なりたいと思った人形には
こんな痛みも微笑みも無かっただろうから・・・
現実を考えるのが嫌になった頃
自分の夢だけは自在に操れた
どんな夢でも見れた
どんな世界でも表現できた
それを現実にしようと思うまでは
眠るという行為が何よりも楽しかった
だけど、それはやっぱり夢のまま消えてゆく
朝日の強い日差しに溶けるように目から追い出されてゆく
その虚しさはとても
幼い心を痛めつけてゆく・・・
人形なら痛みも、悲しみも苦しみも、苦悩も努力も息を吐くという生きる行為まで
何も必要ないのだと知ってから、僕は人形に憧れを抱いた
ただ座っているだけの人生
弄ばれるまま、愛されるまま、放置されるまま、捨てられるまま・・・
その人よりも人らしい瞳に何が映っていようとも
心の無い人形なら何事も無く座っていられるだろう
そんな人間になりたかった・・・